水沢なお より

22歳の詩人の日記

美大生のニューヨーク旅行記・三日目

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《三日目》

セントラルステーション

↓(90分ほど)

ディア・ビーコン

↓(地下鉄と徒歩)

MOMA

↓(地下鉄と徒歩)

スリープノーモア(劇)

 ↓(地下鉄と徒歩)

ホテル

 

 この日は早起きして、ディア・ビーコンへ。ニューヨークからやや距離があるため、ガイドブックなどでもあまり紹介されていない美術館ですが、かなりオススメです。

 まずはセントラルステーションへ向います。ビーコンへゆくには、地下鉄ではなくメトロノース鉄道ハドソン線に乗らなければなりません。駅で往復の切符と美術館の入場券のセットチケットを購入し、時間に余裕を持って乗車。

 世界が一瞬真っ白になって、慌てて車窓に顔を近づけると、透明な水面の上を白い濃霧が漂っており、それは分厚い雲の上まで続いているのでした。ディア・ビーコンのあるビーコン駅はハドソン川沿いの小さな町です。そのため、道中の車窓からは川の景色が見えることが多い。

 その車内で、友達と「ハドソン川の奇跡」の話をした記憶がある。いや、一日目のタクシーだったかな。もう記憶が断片的になってきている。帰りの電車で、若者の声がやたらにうるさかったこととか、本当に着くのか不安だったこととか。電車と電車の連結部分に立ってみると、自分の足ではすぽっと入ってしまいそうなほど大きな隙間が空いていて、その穴から線路の様子がよく見えた。

 ビーコンは乾いて、殺伐としていて、いきものの気配がしないのに、常に自分の命を狙われているような、そんな緊張感があった。だとしたらもう既に私は死んでいる側の存在だなと思った。ガンシューティングゲームで、もうライフがないのに、それでも画面がどんどん前に進んでいるような気がした。私は、まだ日本国内のすべての土地を知っているわけではないけれど、日本の中にこのような場所はないだろうと感じた。

 ビーコン駅からは、迷うこと無くディア・ビーコンへたどり着くことができます。ディアビーコンは、ナビスコの工場を改装して作られた美術館。開館時間より前に着いたので、ベンチに座っておしゃべりしていました。前日がかなりのハードスケジュールだったこともあって、その朝の冷たく静謐な空気がきもちよかった。

 入場料を払い、中へ。

 館内はだだっ広く、自然光が大きな窓いっぱいに射し込んでくる。自分の歩く音がやかましく感じるほど静謐な空間に、突如として現れる作品たちは、えも言われぬプレッシャーを放っていた。身体の内側でのたうち回っていた意識は空間に溶け出してゆくようだった。私というものがどんどんと拡散されてゆき、それにつれ私が希薄になってゆく感覚はむしろ、自分というものの存在を際立たせた。

 私は普段、キャプションを読むタイプだったのですが、キャプションとかいらないかもな、と思いました。いらない、というのはちょっと暴論かもしれないけど、無くても伝わるし、感じ取ることは出来るな、と思いました。むしろ、キャプションばかり必死になって見てしまうこともなく、作品だけをここまで真摯に見つめたことなんて今まで無かったんじゃないかと思った。(そもそも、ビーコンはキャプションをすぐ目に入る場所に配置していない)

 ダン・フレイヴィンの作品などは、別のものをMOMAで見ることができましたが、この環境下で作品と触れ合えることに大きな意味があると思った。そしてロバート・スミッソンの作品が最高に素晴らしかった。

 ビーコン駅では、売店でリンゴジュースを買いました。初日のストロベリーレモネードの失敗から、もう冒険する心は失われていた。水か、果汁100%しか信頼できないというか、それしか味が予想できなかった。美味しくない食べ物よりも、美味しくない飲み物のほうが恐怖を感じる。

 

 そして、ビーコンを満喫した後にMOMAへ。次の舞台の開演時間が決まっていたので、ゆっくり見ることはできませんでした……!悔しいけど、でもまた絶対に来ようと思いました。本当に、1時間も居られなかったんじゃないかな……。

 やっぱりMOMAはあこがれの場所だった。しかし誰もが一度は画集や図録で目にしたことのある、世界的な名作が所蔵されすぎていて、本物を見た!という喜びはあったけれど新鮮な感覚が無いという、ちょっと不思議な体験だった。でもやっぱり、展示方法からなにから、見ごたえがありました。

 

 そして急いで、スリープノーモアの劇場へ。

 スリープノーモアは、廃ホテルを舞台にした参加型のショー。仮面を付け、アノニマスとしてホテルの中を自由に駆け巡ります。ニューヨークで何か舞台が見たいな、と思っていたとしたら、特別な事情がない限りスリープノーモアをオススメしたいです。個人的には事前情報無しの方が楽しめると思ったので、あまり下調べせずに行ったほうがいいかもしれないです。でも、「マクベス」をベースにした演劇だということは念頭に入れて置いたほうが楽しめるかも。私は以前、たまたまマクベスの舞台を見ていたのもあって、すごくすごく楽しむことができました。

 で、開場待ちをしているとき、列の傍を走り去る車からスタバのジュースを投げつけられて、コートがびしょ濡れにになってショックだった。何で!?て思った。今まで治安の悪さを感じたことがなかったけれど、さすがにちょっと怖いな、と思った。ティッシュでコートを拭くと、ピンク色に染まっていた。つまりそれはピンクのジュースだったということです。でも、それ以上に劇が楽しみだったのでそこまで落ち込むことはなかったです。

 

そしてホテルへ。ついに、最終日です。

 

メモ

【ディア・ビーコン】

・駅で、往復の切符と美術館の入場券のセットチケットが買えます。

・あまり混んでいなかったので、車内で朝ごはんを食べても許される雰囲気でした。

・私たちが乗った列車は、降りる人がいる駅を素通りしてしまう、というアクシデントがありました。ビーコン駅で停まってくれるのか不安になりましたが、停まってくれたのでかなり安心しました。

MOMA

・チケットを買った後、荷物を預けなければ展示室に入場できません。その列に20分~30分くらい待ったので、時間に余裕を持って行くといいかな、と感じました。

【スリープノーモア】

・WEBでチケットを購入しました(カード)。

 ・友人と行かれる方は、別行動したほうが良いです。後で、こんなシーンがあった!と語り合うのが楽しかったです。